中英語の発音とスペル (2)
中英語のスペル
中英語の文字と発音表
以下に、中英語の文字と発音の対比表をまとめておきます。
| 文字 |
発音 |
説明 |
| a |
/a/, /aː/, [æː] |
1500年ごろまでには [æː] となり、近代英語後期には /eɪ/ に代わる→大母音推移参照。「l」や鼻音の前では /au/ となることもあった。 |
| ai, ay |
/ai/, /ɛi/ |
|
| au, aw |
/au/ |
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| b |
/b/ |
中英語後期には -mb で終わる単語の /b/ の音は発音しなくなった。 |
| c |
/k/, /s/ |
e, i, y の前にくる場合は /s/、それ以外は /k/。 |
| ch |
/tʃ/ |
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| ck |
/k/ |
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| d |
/d/ |
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| e |
/e/, /eː/, /ɛː/ |
強勢のない「e」は発音されなくなる。 |
| ea |
/ɛː/ |
1600年ごろまでには /eː/ になり、近代英語では /iː/ に変化 →大母音推移参照。< |
| ee |
/eː/, /ɛː/ |
1500年ごろまでには /eː/ から [iː] あるいは /ɛː/ から [eː] に変化(近代英語では 「ea」 とつづるようになる)→大母音推移参照。 |
| ei, ey |
/ai/, /ɛː/, /eː/ |
「ai」と同様の場合もあり。 |
| ew |
/ɛu/, /iu/ |
中英語後期では /ɛu/, /iu/ は統合される。 |
| f |
/f/ |
|
| g |
/ɡ/, /dʒ/ |
e, i, y の前にくる場合は /dʒ/、それ以外は /ɡ/。「gn-」で始まる単語の最初の「g」は発音していた。 |
| gh |
[ç], [x] |
「gh」の「h」の発音はいずれ消失するが、スペルの「gh」は残った。 |
| h |
/h/ |
「gh」の「h」は発音されなくなった。フランス語由来の horrible などの「h」は(フランス語にならって)発音されなかった。 |
| i, j |
/i/, /iː/, /dʒ/ |
母音としては /i/ または /iː/。子音としては /dʒ/。/iː/ は1500年ごろまでには二重母音化する →大母音推移参照。 |
| i.e. |
/ɛː/ |
|
| k |
/k/ |
e, i, y の前にくる「c」 の音が「ソフトな c の音」(日本語で言えばサ行の音)になるため、「ハードな c の音」(カ行の音)を表記するために使った。また、「kn-」で始まる単語の最初の「k」は発音していた。 |
| l |
/l/ |
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| m |
/m/ |
|
| n |
/n/ |
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| o |
/o/, /ɔː/, /oː/, /u/ |
sone(「太陽」)のような単語の「o」では /u/ と発音された。判読性を高めるため、i, m, n, v, w のいずれかの文字と隣接する「u」の代わりに「o」が使われることが多かったため。 |
| oa |
/ɔː/ |
1600年以降には /oː/ に変わり近代英語では /oʊ/ になる →大母音推移参照。 |
| oi, oy |
/ɔi/, /ui/ |
中英語後期には /ɔi/, /ui/ は統合される。 |
| oo |
/oː/, /ɔː/ |
1500年ごろまでには [uː] になる →大母音推移参照。 |
| ou, ow |
/uː/, /ɔu/ |
1500年ごろまでには /uː/ は二重母音化する →大母音推移参照。 |
| p |
/p/ |
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| qu |
/kw/ |
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| r |
/r/ |
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| s, ſ |
/s/, /z/ |
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| sch, sh |
/ʃ/ |
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| t |
/t/ |
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| th |
/θ/, /ð/ |
古英語の「þ」(ソーン)の代わりに使われるようになったが、「þ」も完全に姿を消したわけではなかった。 |
| u, v |
/v/, /u/, /iu/ |
「u」、「v」 の文字は区別されず同じ文字として使用され、子音としては /v/、母音としては /u/ あるいは /iu/ として使われた。 |
| w |
/w/ |
古英語の 「ƿ」(ウィン)の代わりに使われるようになった。 |
| wh |
/hw/ |
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| x |
/ks/ |
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| y |
/j/, /g/, /i/, /iː/ |
子音としては /j/、 /g/ の音を表し、母音としては「i」と同様に使用され、とくに判読性のため、下向きに描く文字に隣接する場合に好まれた。 |
| z |
/z/ |
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