ていねいな言い方とくだけた言い方 (Formal vs Informal) (1)
日本語のような敬語や謙譲語はありませんが、英語にも「ていねいな言い方」と「くだけた言い方」があり、相手や状況に応じて言い方を使い分けることも大切です。しかし、とかく誤解を与えない正しい英文を作るのが精一杯で、とてもスタイルの違いまで気を配っていられませんね。あるいは、気を配りたいが、ていねいとくだけた言い方の違いがわからないので知らず知らず2つの文体が混在してしまって、相手を困惑させているということもあるかもしれません。
ここでは、そんな言い方の違いについて見てみましょう。ビジネスの相手であっても、ファーストネームベースでやりとりしている相手に対しては、打ち解けてくれば「くだけた言い方」を少し取り入れると親しみを表すことができます。しかし、何かを依頼するときや苦情やお詫びをする場合などは「ていねいな言い方」をベースにしたほうがよいでしょう。また、初めてメールを送る相手には「ていねいな言い方」をしたほうが無難だと思われます。
以下、日本語の場合もだいたい同じだと思いますが、フォーマルな場合、インフォーマルな場合をまとめてみました。
Formal |
Informal |
ビジネスで初めて連絡する場合
仕事の取引先とやりとりする場合(相手によっては、打ち解けてくればややインフォーマルになってもかまわない)
求人に応募する場合(履歴書を送る場合)
行政や組織などに問い合わせをする場合
職場の上司や同僚(ただし、少しインフォーマルになってもかまわない)
遠い親戚や個人的な知り合い(少しインフォーマルになってもかまわない)
会ったことのない相手やよく知らない相手に連絡する場合
結婚式などに招待連絡する場合
辞表を書く場合
苦情を言う場合
|
友人とやりとりする場合
家族とやりとりする場合
親しくしている親戚とやりとりする場合(ただし、年上の相手には少しフォーマルにする)
仲の良い同僚
|
表現の違いについて
最初に、英語で言うところの Formal と Informal なスタイルにはどんな違いがあるのか、その傾向を簡単にまとめてみました。
Forma |
Informal |
より客観的
スラングや口語的表現は避ける
I'm、can't、don't などの短縮形は避ける(代わりに I am、cannot、do not を使う)
TV、photo などの省略語は避ける
文章構造が複雑になる傾向がある
Informal よりも受動態を使う頻度が多い
ラテン語源の単語をよく使う (perform, attain, achieve, purchase, etc.)
命令文は避け、Please ... で表現する
|
よりパーソナル
スラングや口語的表現が使える
I'm、can't、don't などの短縮形が使える
TV、photo などの省略語が使える
文章構造がより単純
能動態での表現が主流
英語本来の単語をよく使う (do, get, take, buy, etc.)
命令文が使える
|
次に、使用する語彙(単語)の違いの例をいくつか挙げておきます。
Formal |
Informal |
numerous, many |
a lot of (lots of) |
approximately |
about |
carry out, perform, undertake, etc. |
do |
sufficient |
enough |
discover |
find out |
difficult |
hard |
maintain |
keep up |
また、インフォーマルとフォーマルの違いについては、「英文ライティングのヒント」の「Informal vs Formal―その違いとは?」でも詳しく説明していますので、参考にしてください。
それでは、実際の使用例をもとに「ていねいな言い方」と「くだけた言い方」の違いを見てみましょう。
次ページへ
|