翻訳に基づいた「通弁」クリエイティブ・ライティング

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ただの翻訳ならAIでもできる?(その3)

これまでは、比較的短文の例題で実験してみましたが、ほぼ、「なにが書いてあるか」程度の翻訳であれば、Google翻訳もChatGPTも問題なく使えそうですね。

では、今度は少し長い文章でやってみましょう。短文ではなく、長文での使用に耐えることができなければ、実用的な場面では「使えない」ということになります。

例題 3:
先日、和歌山電鉄貴志川線貴志駅の駅長さんが亡くなったというニュースが話題になっていました。その駅長というのはそう、三毛猫の「ニタマ」。すでに天国で眠る初代駅長の「たま」に続いて2代目だったそうです。和歌山電鉄のホームページでは、「訃報」のお知らせも…。ちなみに、和歌山電鉄貴志川線では三毛猫が駅長を務める駅があり、同駅では、今年のはじめに、「ごたま」がふく駅長(福を呼ぶからこう呼ぶ)に任命された他、伊太祈曽駅の駅長である「よんたま」という猫もいるようです。さらに、初代駅長「たま」がお祀りされている「たま神社」もあり、その「たま」駅長の写真集や絵本なども出版されているようです。猫がかわいいだけでなく、その背後には赤字に悩むローカル線を廃線から救った物語「ネコノミクス」があるのだとか。


Example 3 (Google翻訳)
Recently, the news of the death of the stationmaster at Kishi Station on the Wakayama Electric Railway's Kishigawa Line became a hot topic. The stationmaster in question was a calico cat named "Nitama." He was the second stationmaster, following the first, "Tama," who is now in heaven. The Wakayama Electric Railway website also posted a notice of his passing. Incidentally, there's a station on the Wakayama Electric Railway's Kishigawa Line where a calico cat serves as stationmaster. Earlier this year, "Gotama" was appointed Fuku Stationmaster (so named because he brings good fortune). There's also a cat named "Yontama," who serves as the stationmaster at Itakiso Station. Furthermore, there's a "Tama Shrine" where the first stationmaster, "Tama," is enshrined, and photo collections and picture books about "Tama" have been published. Not only are cats adorable, but behind them is a story of "nekonomics," a story that saved a struggling local line from closure.


Example 2 (ChatGPT)
Recently, news spread about the passing of the stationmaster of Kishi Station on the Wakayama Electric Railway’s Kishigawa Line. And yes, that stationmaster was none other than NITAMA, the calico cat. She was the second to hold the post, following the first stationmaster, Tama, who now rests in heaven. The Wakayama Electric Railway’s official website even posted a formal obituary.

By the way, on the Kishigawa Line, calico cats serve as stationmasters. Earlier this year at the same station, Gotama—whose name is said to bring “good fortune”—was appointed deputy stationmaster. There is also another cat stationmaster named Yontama, who serves at Idakiso Station.

Furthermore, there is even a Tama Shrine, dedicated to the first stationmaster, Tama, and it seems that photo books and picture books featuring Tama have been published as well. Beyond simply being adorable, these cats are part of a remarkable story known as “Nekonomics”—how they helped save a struggling local railway line from being shut down.


外見的な違いは、Google翻訳が1ブロック(段落構成も原文に沿っている)なのに対し、ChatGPTはきちんと段落分けして、あたかも「差をつけよう」という印象さえします。

1)「三毛猫 calico cat」の性別:Google翻訳は he だが、ChatGPTは she(こちらが正しい)
2)「ふく駅長(福を呼ぶからこう呼ぶ)」の部分:Google翻訳のほうがよく意味を読み取っているが、ChatGPTでは勘違いが見られる
3)「猫駅長の数」:ChatGPTは複数(こちらが正しい)だが、Google翻訳は単数表現している
4)「たま神社」:両者とも a Tama Shrine と「普通名詞」的な扱いになっているが、固有名詞である
5)「猫がかわいいだけでなく」の「猫」はGoogle翻訳では、一般的な「猫」ととらえているが、ChatGPTでは「この話に登場する猫」として表現している
6)「ネコノミクス」:日本語でしゃれているのは英語表現できないにしても、せめて説明だけでもしてほしいが両者とも日本語のまま

1)は無理もないところですが、「三毛猫」はメスが大半だという知識やこの話題についての記事を学習していれば、「メス」にするかもしれません。

2)のような、それぞれの語の係り具合が微妙な場合は、ChatGPTはちょっと苦手な印象があります。その点Google翻訳のほうが得意とするところのようで、うまく処理していますが、so named because he brings good fortune では正確とは言えません(hethe title とするといいでしょう)。

3)は、日本語では単数複数を使い分けないので無理もないかもしれませんが、全体の脈絡(コンテクスト)を理解できればわかるはずですが、ここら辺はChatGPTのほうが強そうです。

4)については、原文の日本語もさらっと「たま神社」と言っているせいか、不定冠詞をつけて普通名詞のような扱いをしています。これは、普通名詞ととったのか、固有名詞の普通名詞的用法(I bought a Toyota のような)のつもりなのかもしれませんが、「たま神社」が全国にあるわけでもなく1つしかない固有名詞なので、そのように表現する必要があります。

5)も同じく脈絡ですが、単なる翻訳ではなくライティングとして表現するなら、「猫はかわいいものだが、ここの猫はそれだけじゃない」のように、一般的な猫から始めて駅長を務める特別な猫に話を展開させることもできます。

6)については、サービス精神の問題です。カタカナ表記された日本語は「自動的にローマ字表記して終わり」というのも、機械ならではの「割り切り」なのかもしれません。人間翻訳者なら、そのままにせず、カッコ書きで「neko = cat」だくらいの配慮があってもいいですね。

全体的に、この例文でも、「より自然な表現」ということでは、ChatGPTのほうが優れていますが、語の係り具合の正確さということではGoogle翻訳のほうが信頼できると言えるでしょう。

というわけで、両者とも、「何が書いてあるか」レベルの翻訳であっても、込み入った文章が続く長文になった場合、勘違いや不正確さが発生するということが言えます。

これは余談ですが、ChatGPTの作成した英文には、ダッシュ「—」がやたら多いというのが特徴のようです。この例文でもすでに2か所使われています。これが「ひょっとしてこれChatGPTでやったでしょ?」という「サイン」の1つとも言われています。

最後に、ここでも、翻訳にもとづいたクリエイティブ・ライティング (Creative Writing Based on Translation: CWBT) でやってみましょう。あくまでも、一つの例ということでとらえてください。

Example 3 (CWBT)
The passing of a stationmaster was a hot topic the other day. So, who was the stationmaster? It was a calico cat named “Nitama” (or Tama No. 2) at Kishi Station, Wakayama Electric Railway Kishigawa Line, the second feline stationmaster succeeding the first, “Tama,” now resting in heaven. The railway’s official website posted an obituary for her.

Even though it may sound odd, calico cat stationmasters are not so rare on the railway’s Kishigawa Line stations. Kishi Station saw “Gotama” (Tama No. 5) appointed as the Fuku (deputy) stationmaster (the term “fuku” also means good fortune) at the beginning of the year, while there is “Yontama” (Tama No. 4), presiding over Itakiso Station. But that’s not the end. There is even a shrine dedicated to and named after the first stationmaster, Tama, who has become a protagonist of the feline stationmaster photo collection and picture books.

More importantly, however, those cats are not simply being adorable. They have contributed to the local railway’s Nekonomics (neko means “cat”) by saving it from the brink of closure.


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CalicoCat
(画像はイメージです。)